この記事は、
- 日本有数の玩具メーカーのひとつ「バンダイ」の採用事情
以上をメインに内容を進めていきます。
- バンダイの新卒採用は倍率が高く難しいという噂だが実際はどうなのか?
- バンダイは新卒or中途どちらが採用されやすい?
- ホビー業界への就職のためバンダイの経営戦略を参考に企業分析がしたい
以上の目的を持った方に是非ご一読いただきたいです。
バンダイに新卒入社は無理?「2024年卒の新卒就職人気企業ランキング」から考える

採用情報をあつかうWEBメディア「楽天みん就」にて発表された「2024年卒の新卒就職人気ランキング」では、「仕事の魅力」「働き方の魅力」「会社の魅力」といった複数のカテゴリーにおいて各企業の順位が掲載されています。
以下、個人的に気になったランキングを抜粋しました。
社風・居心地が良さそう
- バンダイナムコエンターテインメント
- 良品計画
- 東京ドーム
- ロッテ
- ワコール
- バンダイ
引用本:https://www.nikki.ne.jp/event/2023042105/
興味深いのは、1位と6位にランクインした企業はどちらも「株式会社バンダイナムコホールディングス」のグループ会社という点です。ちなみに、バンダイナムコエンターテインメントはアプリゲームやキャラクターの世界観を活かしたイベント演出、バンダイはホビー用品を幅広く取り扱うなど、それぞれ得意とする事業の方向性が異なります。
さらに、総合ランキングでは5位にバンダイがランクインしています。
上記ランキングから、バンダイナムコホールディングス系列の企業は新卒採用において非常に人気が高いことが容易に想像できます。特に子供のころから馴染みが深いバンダイは、独自のキャラクター事業によって大人にも認識されていることは周知の事実です。
2020年の新卒採用倍率は70倍!新卒はどこを魅力に感じてるの?
大手企業の内定を勝ち取った元就活生のエントリーシートからヒントを得るというテーマの上記動画では、
2020年にバンダイナムコエンターテインメントに新卒で入社したとある男性の経験談がまとめられています。その冒頭にて、バンダイの採用倍率について
大手ゲーム会社のおよそ70倍の倍率を突破した新入社員のエントリーシートです。
と説明され、さらに画面上には
「2020年新卒採用社数55人/3986人中」という数字が表示されていました。
確かに、「2024年卒の新卒就職人気企業ランキング」でも衰えぬ人気を見せたバンダイですから、就職希望者が殺到し倍率が上昇するのも頷けます。希望者のなかには、「幼少期からバンダイの商品に慣れ親しんだからこそ大人になったら是非キャラクター事業にか関わりたい!」と熱い希望を胸に扉を叩く方は多いでしょう。
……しかし、個人的な熱意だけでこれ程の採用倍率になるでしょうか?例えば、バンダイ公式サイトの新卒採用ページに掲載された「内定者のホンネ」というコーナーでは、「キャラクターには詳しいですか?」という質問に対し、YESが52%、NOが48%という回答結果でした。
要するに、敢えて雑な言い方をするなら、「バンダイにはオタクではなくても入社できる」ということになります。
参考本:
https://www.bandai.co.jp/recruit/grad/intention02/
2022年4月より初任給22万→29万に増額
玩具大手のバンダイ(東京都台東区)は6月28日、全社員に支給した夏期賞与が昨年の支給額より平均で約59万円上がったと発表した。社員の年収は昨年度比で平均約110%になるという。
バンダイとBANDAI SPIRITSは4月に新報酬制度を導入。初任給を22万4000円から29万円へ増額すると共に全社員の月給も引き上げた。
引用元:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2206/28/news132.html
上記は2022年6月にWEBメディア「IT media NEWS」より配信された記事から一部引用しました。
初任給増額については下記2024年度新卒募集要項を確認したところ同様の金額が記載されていたので、現在も好業績は継続中のようです。
2024年度新卒採用募集要項
参考本:
https://www.bandai.co.jp/recruit/grad/requirements/
総合職採用① |
- 募集人数:55名程度
- 職種:企画開発、プロモーション営業、管理
- 給与:月給29万
- 諸手当:通勤、時間外勤務、ほか
- 昇給賞与:年1回
|
総合職採用②(玩具/東京) |
- 募集人数:10名程度
- 職種:玩具の設計、生産管理
- 給与:月給29万
- 諸手当:通勤、時間外勤務、ほか
- 昇給賞与:年1回
|
総合職採用②(プラモデル/静岡) |
- 募集人数:10名程度
- 職種:プラモデルの設計、金型、生産
- 給与:月給29万
- 諸手当:通勤、時間外勤務、ほか
- 昇給賞与:年1回
|
新制度導入により夏のボーナスと初任給が大幅にアップできるくらいの好業績であるなら、キャラクターものに無関心な就活生でも魅了されるのは当然です。
「IT media NEWS」によると、「グローバル戦略推進のため中途採用に注力」「多様な人材を確保し社員のモチベーションを上げる」と、ボーナスや初任給増額から経営戦略の次の段階が明示されています。
つまり、業績の良し悪しを新卒の初任給に反映させる形は継続しつつ、グローバル戦略に特化した幅広い人材を積極的に中途採用することで、「業績が安定した企業の給与に甘えず新卒にも危機感を持って欲しい」ということなのでは。
……しかし、だからといって中途採用が過度に優遇されている訳でもないようです。
バンダイが中途採用に求めるのは「キャラクターとIPによるビッジネスモデルをブラッシュアップできる」人材
(中略)「文系出身だが、商品開発をしたい」
「前職は製造業だが、ずっとエンタメに関わりたいと思っていた」
「営業だが、実は企画職を希望している」
そんなバックグラウンドがある人も歓迎していますし
入社後もジョブローテーション制度を使って自分の可能性を試すことも可能です。
引用元:https://www.bandai.co.jp/recruit/careers/interview/
上記はバンダイ公式サイトの中途採用ページに掲載されたとある社員のインタビュー記事より一部引用したものです。インタビューをされた側はソニーなどの前職を経て2001年にバンダイに入社、2019年には取締役に就任しています。
上記内容からは、一見就職希望者の自由意志を尊重しているようで、その実、「経験豊富な職歴は大前提、それ以上に高いスキルと自主性が重視される」という、中途採用への高い期待と採用基準が潜んでいることが窺えます。
バンダイ社員の口コミ評判を確認
下記「転職会議」に掲載されたバンダイ社員の口コミ評判に中途採用への扱いに関する記述がありましたので該当箇所のみまとめました。
参考本:
https://jobtalk.jp/companies/24832/answers/3592920
- 中途入社でもプロパーと同じようなタイミングで昇進することが可能
- 中途入社社員の割合が多くないので、評価においてはしっかりと信頼関係を築いた方が良い
上記内容が事実であるなら、やはり中途採用はある程度優遇される可能性は高いものの、高い採用基準や本人のスキルなど、厳しい条件を突破した「選ばれし者」のみ評価・昇進が許されると考えると、むしろ経験が乏しい新卒のほうが就職は有利かもしれません。新卒特有の素人目線が新規ビジネス立ち上げに功を奏す、とも考えられます。
いずれにせよ、
バンダイ独自のビジネスモデルをさらにブラッシュアップできる人材は重用されるでしょうから、概要を把握しておいて損はないのでは。
バンダイのビジネスモデル
参考本:
https://www.bandai.co.jp/recruit/grad/company/model/
キャラクターマーチャンダイジング(CMD) |
- バンダイ事業の根幹を支える最も重要なビジネスモデルは玩具の世界からスタートし、その後様々な商品へとフィールドを拡大、発展してきた
- CMDとは、キャラクターが持つ「世界観」「魅力」を最適なかたちで商品やサービス(模型、菓子、食品、カプセルトイ、カード、アパレル、生活用品)を提供する仕組み
- この仕組みを遂行するためには、関係者と関係性を築き共同作業を行うことが不可欠
- 「たまごっち」のように自社内独自のキャラクターを育成するノウハウを所有
- CMDの一般的な流れ
①版元(原作者、TV番組制作者、出版社、etc)からキャラクター商品化を取得
②キャラクターの世界観に伴った商品開発を行い市場に投入
③各メディア(TV、映画、出版、WEB)と連動しキャラクターの魅力を多面的に表現する宣伝を打つことで消費者の購買欲に訴えかける
|
IP(キャラクターなどの知的財産)軸戦略 |
- 豊富なIPを活用するIP軸戦略はバンダイ最大の強みとして幅広い事業の商品展開に活用
- 今後はIP軸戦略を50、100年と持続的成長が可能なビジネスへと展開させていく見込み
|
【まとめ】とりあえずバンダイのインターンに参加して様子見もアリ!
正直、「バンダイは新卒・中途どちらのほうが採用されやすいか」についてはここではハッキリとしたことは言えません。
冒頭に記載した「グローバル戦略推進のため中途採用に注力」は、あくまでもすぐに重要な役職が担えるくらいの高い経験値とスキルの持ち主に限定しているのでしょうし、一方で好業績が初任給に反映される新卒には、より高いモチベーションと危機感を持ちつつも消費者目線でどんどん新しいアイディアを創造できるオリジナリティが期待されているとすると、こちらも課題が山積みです。
なので、一旦の解決方法として、「とりあえずバンダイのインターンに参加してみる」のも良いのではないでしょうか。もちろん、インターン参加は学生に限定されているため、中途採用の場合はビジネスモデルと合わせて上記動画を視聴し、
「バンダイが社員に求めるもの」を分析してみるのもアリかもしれません。